観音寺はその寺院名の通り聖観世音菩薩をご本尊とした仏教宗派である曹洞宗(禅宗)のお寺でございます。
曹洞宗の歴史は古く、鎌倉時代1277年、遡ること約780年高祖道元禅師様が我が国に開かれ、四代目の太祖瑩山禅師様が興隆されました。現在の両大本山である越前の永平寺、鶴見の聰持寺を曹洞宗の本山とするのはこのお二方が宗門における父母に当たるお方であり両祖大師である為です。
当山は、十和田湖・奥入瀬渓流といった豊かな水、静寂に満ちた三本木の地に抱かれたこの土地で祖師方の法を相承し、山門行事や御供養に勤めております。
しかしながら、当山が位置する十和田市三本木は、かつては「人も住めない三本木」不毛の大地と言われるほどでした。その「三本木原」に南部盛岡藩士新渡戸傳翁(「武士道」の著者、国際連盟事務次長として世界的に知られた新渡戸稲造の祖父)、長男十次郎、孫の七郎の三代が安政二年(1855年)三本木原開墾に着手し、安政六年(1859年)人工河川「稲生川」を完成させました。
その後、三本木の原野は開拓が進むものも、度重なる冷害や凶作、戦争、入植した人々の風俗習慣の違いと貧困など様々な苦難が続き、当時は寺が少なく不便を強いられておりました。
そういった歴史的な背景や先人達の念いと篤い信仰から、当山では「衆生済度大願・先祖供養」の祈祷・ご供養に重きをおいております。
昨今では、生活様式の変化や少子化、核家族化が進んだことにより、さまざまな事情で供養に対する不安や悩みの声が当山にも数多く寄せられるようになってきました。
亡くなられた方を悼み、家族の絆を大切にする想いは、いつの時代でも忘れてはならない尊いものです。観音寺では、こうした皆さまの想い大切にし、地域の風習や伝統を守りながら時代に即した供養の形として、永代供養をはじめ、様々な御祈祷や供養、山内の行持に勤めております。
これからもご先祖様を祀るための聖地、開かれた禅苑となるよう皆さまと仏縁を結びながら一歩ずつ歩んで参ります。
写真 : 奥入瀬渓流
年表
→ 昭和61年
五戸町高雲寺 住職村松幸榮老師 就任
→ 昭和62年
観音寺二世 前田憲良 就任
→ 平成9年
位牌堂、書院、庫裡他 増改築
→ 平成16年
観音寺二世 前田憲良 晋山・結制式
→ 平成16年
山門・鐘楼堂落慶
→ 令和4年
書院、寺務所、庫裡 焼失